本記事でいうAIエージェントのショッピングとは、利用者の依頼や条件を受けて、AIが商品を探し、比べ、場合によっては購入の手続きまで代わりに進める使い方のことです。
この一年半ほどの間に、Google、OpenAI、Amazon、Perplexity、楽天が、それぞれこの方向の機能を発表しました。本記事は、各社の一次の発表を、日付と、発表に書かれた提供地域とともに並べます。 製品どうしを比べて優劣を付けることはしません。
発表を並べると、共通して見えることがあります。本記事が読んだ発表の多くで、利用者がエージェントに渡すものは「条件」の形をしています。 サイズ、色、使える金額、時期、用途、人数、設備などです。
そして、企業の情報は、その条件と照らし合わせる材料として読まれうる、というのが本記事の整理です。 読まれる経路は、企業が渡す商品データ、公開ウェブ(商品ページ、レビュー、ほかのウェブの情報)、ブラウザの画面の、少なくとも三つです。
ただし、反証も厚い。発表から提供までには数か月の差があり、本記事が確認した購入まで進める機能の多くは、発表に書かれた提供地域が米国です。 OpenAIは事業者が自社のチェックアウトを使える形に改め、AmazonとPerplexityの間には係争があります。日本で提供を確認できたのは、AmazonのRufusと楽天の各機能などです(2026年9月25日確認)。
本記事が引き受けるのは、確認できた事実を並べることと、自社がAIの回答の中でどう扱われているかを測る手順を示すことまでです。
この記事で分かること
- Google、OpenAI、Amazon、Perplexity、楽天が発表した、代わりに探し、比べ、買う機能の日付と、発表に書かれた提供地域
- 利用者がエージェントに渡す依頼が、どのような「条件」の形をしているか
- 企業の情報が、商品データ、公開ウェブ(商品ページ、レビュー、ほかのウェブの情報)、ブラウザの画面という経路で読まれうること
- エージェントの選び方に、表示の順番やモデルの更新が影響しうるという研究の報告と、その限界
- 日本での提供の確認(2026年9月25日時点)と、発表と提供の差、購入の機能の改め、係争といった反証
- 条件を仕様の形で並べて聞き、回答が述べた属性を自社の仕様と突き合わせる測り方と、その測定では分からないこと
対象読者
EC・小売・サービス企業のマーケティング担当者と、その上長を想定しています。自社の商品やサービスが、AIに代わりに探させる利用者にどう見つけられ、どう比べられているかを、伝聞ではなく各社の発表と研究の報告から把握したい方に向けた記事です。部門としての全体像は営業・マーケティングの観点からAI認知を扱う記事にまとめています。
最初に置く数字
Googleは、商品情報の集まりであるShopping Graphについて、2025年11月13日の発表で500億件を超える商品の掲載があり、そのうち20億件が毎時更新されると書き、2026年5月19日の発表では掲載を600億件超としています。 いずれもGoogleが公表した掲載の数です。
一方で、Adobeは、2025年の年末商戦で生成AIのツールから米国の小売サイトへの訪問が前年比693.4%増えたとしつつ、使っている人の母数はまだ控えめだと書いています(2026年1月7日公表・ベンダーの分析)。伸びの率と、規模とは別の話です(§6-4)。