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AIの記憶とパーソナライズ|同じ問いでも答えは変わるのか、企業の見え方をどう確かめるか

2026-09-25更新 2026-09-28読了目安 25分

著者: 株式会社Vaigate(AI上の認知を、複数のAIへの合計25回のステートレス計測で測定するVaipmを運営)

この記事のポイント

AIの記憶とパーソナライズで、同じ問いへの答えは変わるのか。ChatGPT・Gemini・Claudeの記憶の機能を提供範囲と日本で使えるかに分けて整理し、答えの違いを測った報告とその限界、利用者の理由と懸念を並べます。一人の画面だけでは代表と判断できない理由と、記憶を外して繰り返す確かめ方も解説します。

結論サマリー

ChatGPT、Gemini、Claudeは、いずれも利用者について覚えておき、次の会話の答えに使う機能を持つようになりました。 条件を毎回問いに書く代わりに、AIの側に覚えさせる形です。各社は、利用者についての情報が問いに関係する場合に、それを反映して答えを利用者に合わせる機能だと説明しています。

では、実際に答えはどれだけ変わるのか。測った報告はあります。 実際の利用者800名の画面と、状態を持たない呼び出しとで、同じ問いへの答えを比べた査読付きの研究では、「好きになりそうな会社を五つ挙げて」という問いに、状態を持たない側は93%の回答でTeslaを挙げ、利用者の画面では35%でした。ただし、この違いを記憶だけの効果として切り出した報告は、本記事の調査範囲では確認できませんでした。 日本語で測った報告も見つかっていません。

利用者の側には、パーソナライズを利用の理由に挙げる人がいる一方で、それにかかわるリスクへの懸念もあります。総務省の調査では、生成AIを使ったことのある日本の回答者の31.6%が、利用する理由に「自分の好みや状況に合わせて整理・提案してくれる」を挙げています。同じ調査で、「嗜好に沿う回答により、無自覚に判断や考えが偏る」ことをリスクだと感じる人は、二つの回答を合わせて67.7%でした(本記事による合算)。

企業にとっての帰結はこうです。一人の画面に出た答えは、その人の記憶や設定を含みうる答えで、それだけでは利用者全体を代表する結果だとは判断できません。 自社がAIにどう扱われているかを比べられる形で確かめる一つの方法は、何を測っているのかを先に決め、記憶の扱いを固定して、繰り返して記録することです。本記事は、その理由と、記憶を外して測るときの手順を書きます。

この記事で分かること

  • ChatGPT、Gemini、Claudeの記憶とパーソナライズの機能が、どの範囲で出たか。日本で使えるかどうかを、一次の記述で確かめられた範囲で分けて示します
  • 各社の説明から言えること。利用者の情報を反映して答えを合わせるように作られていること、提供元自身が誤りの可能性を書いていること
  • 記憶や利用者の状態で答えが変わることを測った報告と、その限界
  • 利用者がパーソナライズに何を求め、何を懸念しているか(日本と米国の調査)
  • 反証。繰り返し推薦されるブランドの大半は変わらなかったという観測を含めて
  • 記憶を外して自社の見え方を確かめる手順と、その手順で言えないこと

対象読者

マーケティングと広報の実務担当者、そしてその上長。社内で「AIに聞いたら、うちの会社が出てこなかった」「競合ばかり勧められた」という報告を受ける立場の方を想定しています。

最初に置く数字

実際の利用者の画面では、状態を持たない呼び出しより、推薦される会社の顔ぶれが大きくばらつきました。 同じ問いへの答えで、状態を持たない呼び出しではTeslaが93%、Patagoniaが91%の回答に出たのに対し、利用者の画面ではそれぞれ35%と37%でした(Wang、Ho、Koyejo、学術誌Patterns、2025年12月)。比べているのは、利用者の画面と、状態を持たない呼び出しです。記憶だけを入れ替えた比較ではありません(§4-1)。

1. 言葉の整理 — 何が「覚える」のか

この記事では、「記憶」と「パーソナライズ」を次の意味で使います。

記憶は、過去の会話などからAIが利用者について得た情報を、会話をまたいで持ち越す機能です。各社は「メモリ」「memory」と呼んでいます。

パーソナライズは、記憶を含めて、利用者についての情報を使って答えを変えることの全体を指します。利用者があらかじめ書いておく指示や、ほかのサービスのデータとの連携も、こちらに含めます。

各社の機能を並べると、利用者についての情報がAIに渡る道筋は、大きく三つに分かれます。

表1:利用者についての情報がAIに渡る三つの道筋
道筋中身各社の例
利用者が書いて渡す自分のことや、答え方の好みを、あらかじめ文章で設定しておくChatGPTのカスタム指示。Geminiの指示の設定
会話から覚える過去の会話の中身から、AIの側が要点を取り出して持ち越すChatGPTのメモリ。Geminiの過去のチャットの記憶。Claudeのメモリ
ほかのサービスのデータとつなぐメール、写真、検索の履歴などを、利用者の許可のもとで参照するGoogleのPersonal Intelligence(Gemini アプリと検索のAI Mode)

一つ目は、条件を問いに毎回書く代わりに、設定に一度書く形です。二つ目と三つ目は、利用者が書かなくても、AIの側が条件を持つ形です。この記事が主に扱うのは二つ目で、三つ目にも触れます。

この整理は本記事の便宜のためのもので、各社の用語とは一致しません。各社の機能は名前も範囲も違い、同じ名前でも時期によって中身が変わっています。たとえばGeminiでは、過去の会話の記憶を切り替える設定が、「パーソナル インテリジェンス」の設定画面の中に置かれています。

ロングクエリマーケティングとはでは、条件を一つの問いに入れて投げる動きを扱い、記憶によって条件を覚えさせる動きは、素材の確認が済んでいないとして扱いを見送っていました。本記事はそれを主題にします。

2. 各社は何を出したか — 提供範囲と日本での扱い

この章は、各社の一次の記述で確かめられた日付と提供範囲を書きます。日本で使えるかどうかは、一次の記述に書かれている場合だけを書き、書かれていない場合は「確認できなかった」と書きます。

2-1. OpenAI(ChatGPT)

OpenAIの発表と案内のページは、当社の取得環境から取得できなかったため、ブラウザで表示した本文で確認しました。日付はリリースノートの見出しと発表の日付です。

  • 2023年7月20日:好みを一度設定すればその後の会話に効くカスタム指示を、ベータで出し始めました。すべてのPlusの利用者で使え、数週間のうちに全利用者へ広げるとしています
  • 2024年2月13日:メモリの試験を始めました。無料とPlusの一部の利用者が対象です。2024年4月29日に、すべてのPlusの利用者に広げました。欧州と韓国を除くと書かれています
  • 2025年4月:保存した記憶の一覧の外にある、過去の会話の文脈も参照するように記憶を更新しました(Dreamingの発表による)。2025年5月8日のリリースノートは、EUを含むすべてのPlusとProの利用者への拡大を伝え、EEA(EUと英国)、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインでは既定でオフとしています
  • 2026年6月4日:多くの会話から記憶を背景で組み立て直す仕組み(Dreaming)を新しくしました。米国のPlusとProの利用者から始め、数週間のうちに追加の国と、FreeとGoの利用者へ広げるとしています

日本について。 原文に日本を名指しした記述はありません。除外や既定でオフとして挙がっているのは欧州などの地域で、日本は入っていません。Dreamingが日本でいつから使えるかは、確認できませんでした。

2-2. Google(Gemini と 検索のAI Mode)

Googleは、Geminiのアプリと、Google検索のAI Modeの両方で、利用者についての情報を答えに使う機能を出しています。提供範囲は機能ごとに違い、米国から始まったものが多くあります。

  • 2025年3月13日:Geminiが検索の履歴を参照して答えを利用者に合わせる機能を、実験的な機能として出しました。45を超える言語、世界の大半の国で提供するとし、欧州経済領域、スイス、英国を除くと注記しています
  • 2025年5月20日:AI Modeで、過去の検索にもとづく提案を近く出すこと、利用者が選べばGmailをつないで個人の文脈を取り込めることを発表しました(例は§3-1)。AI Modeは、この時点では米国での提供でした
  • 2025年8月13日:Geminiのアプリで、過去の会話から要点や好みを覚える機能(personal context)を出しました。初期設定でオンです。最初はGemini 2.5 Proで、一部の国の18歳以上の個人アカウントに限るとしています。同時に、記憶に使われない一時的な会話(Temporary Chat)を出し、その会話は、応答とフィードバックの処理のために最長72時間保存するとしています
  • 2026年1月14日:Gmail、Googleフォト、YouTubeなどとつなぐ「Personal Intelligence」をベータとして出しました。対象は米国のGoogle AI ProとUltraの利用者です。アプリとの連携は初期設定でオフで、利用者が選んで有効にします
  • 2026年1月22日:Personal IntelligenceをAI Modeに広げました。対象は米国、英語、Google AI ProとUltraの利用者で、Labsの機能としての提供です
  • 2026年3月17日:米国で、無料の利用者にも広げました。AI Mode、Geminiのアプリ、ChromeのGeminiが対象です
  • 2026年4月14日:日本で、GeminiのアプリのPersonal Intelligenceの提供を始めました。対象はGoogle AI Plus、Pro、Ultraの個人アカウントで、無料版へは数週間のうちに広げる予定としています
  • 2026年5月20日:日本語の発表で、AI ModeのPersonal Intelligenceの提供を、有料の契約なしで、日本をはじめ世界約200の国と地域、98の言語に広げるとしました。Gmailや Google フォトと連携させるかどうか、いつ連携させるかは、利用者が決めるとしています

日本について。Geminiのアプリ。 Personal Intelligenceが日本で始まったことは、2026年4月14日のGoogleの日本語の発表で確かめられます。一方、過去の会話の記憶(2025年8月)が日本で使えるかは、発表にも案内のページにも国の記載がなく、確認できませんでした。 案内のページが挙げている条件は、18歳以上であること、個人のアカウントであること、アクティビティの保存がオンであることです。

日本について。検索のAI Mode。ここは二つを分けて書きます。 一つ目のPersonal Intelligenceは、2026年5月20日の日本語の発表で、日本を含む地域へ広げるとされています。個々の利用者の画面でいつから使えるようになったかまでは、本記事は確かめていません。二つ目は、AI Modeに具体的なことを覚えるよう、または忘れるよう指示できる記憶の機能です。Google検索の案内のページは、この機能を「米国において英語で」利用できると書いています。連携による個人の文脈と、「覚えて」「忘れて」と指示できる記憶とでは、提供範囲が違います。

2-3. Anthropic(Claude)

  • 2025年9月11日:TeamとEnterpriseのプランの利用者向けに、メモリを出しました。プロジェクトごとに記憶を分けること、記憶に残さない会話(incognito chat)をすべての利用者が使えることを説明しています
  • 2025年10月23日:ProとMaxのプランの利用者にも広げました
  • 2026年3月2日:会話の履歴からの記憶を、無料の利用者を含むすべての利用者に広げました
  • 2026年7月10日:一日一回まとめる形から、分類された個別の記録を会話の中で読み書きする形に変えました
  • 2026年8月25日:更新の案内で、覚えている内容は設定の「Memory」に話題(Topics)ごとに一覧され、編集や削除ができると説明しています

初期設定は、プランで分かれます。 案内のページは、無料、Pro、Maxではメモリが初期設定でオン、TeamとEnterpriseではオフで、管理者が有効にできると書いています。

日本について。 Anthropicは、Claudeを提供する国と地域に日本を挙げています。メモリの発表と案内のページには、地域の制限は書かれていませんでした。

2-4. 並べると

表2:各社の記憶とパーソナライズの機能(本記事が確かめた範囲)
提供元機能始まった日と範囲日本で使えるか
OpenAIカスタム指示2023年7月20日、すべてのPlusの利用者でベータ日本を名指しした記述なし
OpenAIメモリ2024年2月13日に一部の利用者で試験。4月29日にすべてのPlusの利用者(欧州と韓国を除く)除外に日本は無い
OpenAI過去の会話の参照2025年4月。5月8日にEUを含むすべてのPlusとProへ。EEAなどでは既定でオフ既定でオフの地域に日本は無い
OpenAIDreaming2026年6月4日、米国のPlusとPro。追加の国とFree、Goへ数週間で確認できず
Google過去のチャットの記憶(Gemini)2025年8月13日、一部の国。初期設定でオン国の記載がなく確認できず
GooglePersonal Intelligence(Gemini)2026年1月14日、米国のProとUltra。連携は初期設定でオフ2026年4月14日から、Plus、Pro、Ultraの個人アカウント
GooglePersonal Intelligence(AI Mode)2026年1月22日、米国、英語。3月17日に米国の無料の利用者へ2026年5月20日の発表で、日本を含む約200の国と地域、98の言語へ、有料の契約なしで拡大
Google「覚えて」「忘れて」と指示できる記憶(AI Mode)案内のページに記載案内のページは米国、英語とする
Anthropicメモリ(Claude)2025年9月11日、TeamとEnterprise。2026年3月2日に無料の利用者を含む全員提供国に日本あり。地域の制限の記載なし

表の右端の列を、とくに見てください。 米国で始まった機能が、日本で同じ時期に同じ範囲で使えるとはかぎりません。同じAI Modeの中でも、機能によって提供範囲が違います。発表を読むときは、国、言語、プラン、年齢、アカウントの種類を確かめてください。

3. 各社の説明から言えること

3-1. 利用者の情報を反映して、答えを合わせるように作られている

各社の発表は、利用者についての情報が問いに関係するとき、それを反映して答えが変わることを、例として示しています。

  • Googleは、AI Modeで週末にナッシュビルで何をするかを聞くと、過去のレストランの予約と検索をもとに、屋外の席がある店を示せると書いています(2025年5月)
  • Googleは、Geminiに本のおすすめを聞くと、以前に話題にした本と似た主題の本を示すことがあると書いています(2025年8月)
  • OpenAIは、Dreamingの発表で、記憶が無い場合と有る場合の答えを並べています。カメラの機材の買い物では、記憶が無いと互換性の確認を利用者に任せる一般的な答えに、記憶があると利用者の機材に合う製品を勧める答えになる、という例です(2026年6月)

これらは提供元が示した使い方の例であって、答えがどれだけ変わるかを外から測った数字ではありません(測った報告は§4)。 各社の説明から読み取れるのは、関係する個人の情報を反映して答えを利用者に合わせることが、この機能の目的だということです。個人の情報が関係しない問いまで答えを変えることを目的にしている、とは書かれていません。

業界のおすすめや、比べてほしい会社を聞く問いは、利用者の業種、地域、好みが関係しうる問いです。OpenAIは、記憶が有効なら、検索語の書き換えに保存済みの記憶を使うことがあるとも案内しています(クエリファンアウト(query fan-out)とは)。

3-2. 提供元自身が、誤りの可能性を書いている

Googleは、Personal Intelligenceの発表の中で、不正確な答えや「過度なパーソナライズ」が起きうると書いています。 関係のない話題どうしをモデルが結びつけてしまうことを指す、と説明しています。AI Modeへの展開の発表と日本語の発表にも、同じ趣旨の注意書きがあります。

企業の側から見ると、これは次のことを意味します。ある利用者の画面で自社が妙な文脈で語られていても、それが自社について世の中に出回っている情報のせいなのか、その利用者の記憶や連携されたデータのせいなのかは、その画面だけでは分かりません。

3-3. 利用者は、記憶を外すことができる

各社とも、記憶を使わない手段を用意しています。次の表は、2026年9月に確認した各社の説明です。

表3:記憶を使わずに問う手段(各社の説明による)
提供元手段説明されていること
OpenAITemporary Chat既定では非パーソナライズで、記憶、カスタム指示、プラグインを使わず、新しい記憶も作らない。開始時にパーソナライズを選ぶと、既存の記憶、カスタム指示、プラグインを使う(新しい記憶は作らない)。会話の途中では切り替えられない(2026年8月27日のリリースノート)
GoogleTemporary Chatパーソナライズにもモデルの学習にも使われない。最長72時間保存
Googleパーソナライズなしで答えを作り直すPersonal Intelligenceで、特定の会話の答えをパーソナライズなしで作り直せる
Anthropicincognito chat会話を覚えず、記憶にもチャットの履歴にも保存しない。全プランで使える

一時的な会話でも、記憶が使われる場合があります。 ChatGPTでは、2026年8月27日の変更で、一時的な会話を始めるときにパーソナライズを選べるようになりました(それより前の6月12日の案内は、既存の記憶を使わないとしていました)。仕様は変わりうるので、測る前に、その製品の現在の設定と案内を確かめてください(§8-2)。

また、これらの手段で何が外れるのかは、各社の説明の範囲でしか分かりません(§4-2、§8-2)。

4. 答えが変わることを測った報告

ここからは、提供元の説明ではなく、外から測った報告です。見つかったものを、強さの違いが分かるように並べます。

4-1. 利用者の画面と、状態を持たない呼び出し(査読付き)

Angelina Wang、Daniel E. Ho、Sanmi Koyejoの研究は、学術誌Patternsに2025年12月に掲載されました。本記事が見つけた中で、実際の利用者の画面を使って測った査読付きの報告は、この一本でした。

設計は次のとおりです。米国のChatGPTの利用者400名とGeminiの利用者400名に、ふだん使っている自分のアカウントの画面から、同じ問いを入力してもらいました。論文は、ChatGPTは利用者の記憶を保存して使い、Geminiは検索の履歴を答えに取り込む、と説明しています。これを、同じモデルを状態を持たない形で、温度の設定を1にして繰り返し呼び出した答えと比べています。

結果の一つが、冒頭の数字です。「好きになりそうな会社を五つ挙げて」という問いに、状態を持たない呼び出しでは93%の回答がTeslaを、91%がPatagoniaを挙げました。利用者の画面では、Teslaが35%、Patagoniaが37%でした。状態を持たない側の答えは狭く揃い、利用者の画面の答えは広くばらついた、ということです。

限界も書きます。

  • 利用者の画面と状態を持たない呼び出しとでは、記憶のほかにも違いがあります。 アプリを通すか通さないか、各社が画面の側で加える設定などです。この研究は、その違いのうち記憶だけの寄与を切り出したものではありません
  • 調査を始めた1,606名のうち、最後まで答えたのは800名で、脱落は50.2%でした
  • 対象は米国の利用者で、問いは英語です
  • 使われたモデルはGPT-4o miniとGemini 2.0 Flashで、いまの製品とは違います

4-2. 履歴を持たせたアカウントと、一時的な会話(査読なしの報告書)

報告書「The Personalization Gap」は、2026年8月29日にZenodoで第1.0版が公開され、9月8日に改訂されたウェブ版も公開されています。AI検索での見え方を扱うマーケティングのコンサルタントと、AI企業の共同創業者の2名が書いたもので、査読を経ていないことが明記されています。

英国で、2026年6月の9日間、ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityに、同じ30の問いを三つの状態で投げています。①アカウントも履歴も持たないAPIの呼び出し、②別に用意した中立のアカウントで、履歴を残さない一時的な会話のモードを使ったもの、③利用者像に沿った履歴を積ませたアカウント。利用者像は、スキンケア、人事のソフトウェア、子ども向けの贈り物の3分野で計6通りで、問いの文面には利用者像を書いていません。 取得できた回答は8,609件です。

③と②で、繰り返し推薦されるブランドの顔ぶれがどれだけ違うかを、通常の揺らぎで説明できる分を差し引いて見ると、ChatGPTで16.0ポイント、Geminiで33.3ポイント、Perplexityで7.2ポイント(統計的には境界上)の差が出ました。Claudeでは統計的な差は検出されず(1.0ポイント)、代わりに使う検索の語が変わった、としています。

同じ報告書は、変わらなかった部分も書いています。 比べられた164の組み合わせで、繰り返し推薦されるブランドの約75%は②と③で共通で、違ったのは約25%でした。件数でいえば、③で繰り返し推薦されたブランドは平均で約3.7件で、そのうち約2.8件が②と共通でした。繰り返し推薦されるブランドの集合では、大半が共通で、一部が入れ替わった、ということです。

もう一つ、測り方に直接かかわる数字があります。③で繰り返し推薦されたブランドの集合を基準にして、それを別の状態でどれだけ拾えたかを見ています。一回の回答で拾えた割合は、②で62.9%、①で53.0%でした。同じ問いへの回答を16回まで重ねると、②で94.7%、①で79.1%になりました。記憶の無い状態を繰り返し測ると、履歴を持つアカウントの推薦を拾える割合は上がったが、どちらの記憶の無い状態でも届かない部分が残り、その大きさは状態の作り方で違った、という結果です。

限界も書きます。

  • 履歴は、6通りの利用者像に沿って、別々のアカウントに積んだと説明されています。実施した手順書、集計したデータ、主張ごとの出所の索引は公開されています。一方、回答単位のデータと抽出の仕組みは公開されておらず、手順書は履歴の具体的な作り方を非公開としています。公開された資料だけから、各アカウントの履歴を再現することはできません
  • 著者自身が、一時的な会話のモードが内部でほかに何を変えているかを提供元が開示していないため、差のすべてを履歴に帰すことはできないと書いています
  • ①のAPIと、②③のブラウザとでは、経路そのものが違います。著者は、①は答えがもっとも揃う一方で③をもっとも拾えなかったとし、再現しやすさと実際の画面を映すことは別の性質だと書いています
  • 英国、英語、9日間の観測です

4-3. 問いに利用者像を書き添えた場合(ベンダーの未査読のプレプリント)

これは記憶ではなく、問いの文面に利用者像を書き添えた実験です。 近い論点として置きます。

Will Jackほか計4名(AI企業Unusualの所属)が2026年5月28日にarXivに投稿した、未査読のプレプリントです。「最良のCRMソフト」のような問いの頭に、「私は◯◯です」という利用者像の一文を付け、10通りの利用者像、8つの問い、3つのモデルの設定で計2,000回の回答を集めています。

利用者像を付けると、推薦されるブランドの顔ぶれの重なりが下がりました。分野で首位に立つブランドは、利用者像が変わってもおよそ8割が同じだった一方、中位のブランドでは、推薦の顔ぶれの最大75%が入れ替わった、と報告しています。

この結果は、記憶の効果を測ったものではありません。利用者像を問いに書くのと、AIが記憶として持っているのとが、同じように働くとも言えません。言えるのは、AIが「誰が聞いているか」を知ると、推薦が変わりうることを示す観測がある、というところまでです。

4-4. 背景 — 検索のパーソナライズは、以前から測られてきた

Aniko Hannákらの研究(2013年の国際会議WWW、拡張版は2017年)は、Google検索で200名の利用者について、結果の平均11.7%に、パーソナライズによる違いが見られたと報告しています。Bingでは15.8%でした。測れる形でパーソナライズが確認できたのは、ログインしたアカウントで検索した場合と、利用者のIPアドレスによる場合に限られた、ともしています。

生成AIの答えの話ではありませんが、ログインした状態での結果の違いは、検索では十年以上前から測られていたことになります。

4-5. ここまでで言えること、言えないこと

表4:答えの違いについて、測った報告から言えること
言えること言えないこと
実際の利用者の画面では、状態を持たない呼び出しより、推薦の顔ぶれがばらついた観測があるその差がすべて記憶によるものである
履歴を持たせたアカウントでは、一時的な会話と比べて、繰り返し推薦されるブランドの一部が入れ替わった観測があるどの提供元でも同じ大きさで起きる
同じ観測で、繰り返し推薦されるブランドの大半は共通だった記憶によって答えがまったく別物になる
問いに利用者像を書き添えると、中位のブランドほど入れ替わったという報告がある記憶として持つ場合も同じように働く
記憶の無い状態を繰り返し測ると、履歴を持つアカウントの推薦を拾える割合が上がった記憶の無い状態の測定で、履歴を持つ利用者の画面をすべて再現できる

記憶の効果だけを切り出して測った報告は、本記事の調査範囲では確認できませんでした。 見つかった報告は、記憶と一緒に別の違いも含む比較か、記憶の代わりに問いに書き添えた比較です。日本語で、日本の利用者の画面を使って測った報告も見つかっていません。

5. 利用者は何を求め、何を懸念しているか

5-1. 日本 — 好みや状況に合わせてくれることを、利用の理由に挙げる人

総務省の「令和8年版 情報通信白書」は、2026年1〜2月に日本、米国、ドイツ、中国で行ったインターネットでの調査を載せています。日本の回答者は1,236名で、15〜69歳を年代ごとに同じ数ずつ集めています。

生成AIのサービスを使ったことがあると答えた人に、使う理由を聞いたところ、日本では「自分の好みや状況に合わせて整理・提案してくれる」が31.6%でした。いちばん多かったのは「利用にかかるお金が無料又は安い」(53.9%)、次が「時間や手間を省いてくれ、作業の効率が上がる」(42.8%)です。

この数字は、すでに使っている人が挙げた「理由」です。 記憶の機能を使っているかどうかを聞いたものではありません。記憶の機能への期待を直接聞いた数字も、本記事は見つけていません。言えるのは、好みや状況に合わせてくれることを使う理由の一つに挙げた人が、利用経験のある人の3割ほどいる、というところまでです。

5-2. 日本 — 嗜好に沿う答えで、考えが偏ることへの懸念

同じ調査は、AIの利用にかかわるリスクの感じ方も聞いています。今回の調査で新しく加わった項目が「AIのレコメンドや自分の嗜好に沿う回答により、無自覚に判断や考えが偏る」です。日本では「非常にリスクだと感じる」が26.8%、「どちらかと言えばリスクだと感じる」が40.9%で、合わせて67.7%でした(白書に載っているのは二つの値で、合計は本記事による合算です)。

比べ方には注意が要ります。 日本でリスクだと感じる人の割合がもっとも高かったのは、精巧な偽の映像や画像を本物だと思ってしまうことで、合わせて7割を超えています。ほかの項目も、合わせて6割台半ばから7割台に並んでいます。嗜好に沿う答えへの懸念だけが際立って高いわけではありません。

5-3. 米国 — 使わない理由に、個人の情報の扱いを挙げる人

Pew Research Centerは、2026年2月17〜23日に米国の成人5,119名に行った調査を、2026年6月17日に公表しました。AIのチャットボットを使う人は49%、使わない人は51%です。

使わない人に理由を聞くと、「自分の個人の情報がどう使われるかが心配」を大きな理由に挙げた人が54%、小さな理由に挙げた人が24%でした。また、回答者全体の71%が、AIの利用が広がると自分の個人の情報の安全性は下がると考えています。

これは記憶の機能に限った質問ではありません。 個人の情報の扱いへの懸念が、使わない理由の上位にあることを示す数字です。

5-4. 利用の理由と、懸念が並んでいる

利用の理由と懸念は、同じ人の中にも並びえます。各社が、記憶を初期設定でオンにする機能と、オフにしておく機能を分け、記憶を使わない会話の手段を用意しているのも、この両方に応えるためだと読めます。ただし、これは本記事の読み方です。 各社が初期設定をそう決めた理由を、発表は説明していません。

6. 反証 — ここまでの話が弱いところ

ここを飛ばして読まないでください。 「記憶で答えが変わるから、企業の見え方は人ごとにばらばらだ」という読み方には、反対側の材料があります。

表5:反証と、その出所
反証内容出所
繰り返し推薦されるブランドの大半は共通だった164の組み合わせで約75%が共通。件数では約3.7件のうち約2.8件査読なしの報告書(§4-2)
統計的な差が検出されなかった提供元があるClaudeでは推薦の顔ぶれの差は検出されず、Perplexityは境界上査読なしの報告書(§4-2)
首位のブランドは動きにくい利用者像を変えても、分野で首位のブランドはおよそ8割が同じベンダーの未査読のプレプリント(§4-3)
記憶だけの効果は切り出されていない見つかった比較は、アプリとAPIの違いなど、記憶以外の違いも含む本記事の読み方
日本での提供は一部しか確かめられない米国から始まった機能が多く、日本での提供を一次で確かめられたものは限られる各社の発表(§2)
日本語での観測がない記憶や利用者の状態で答えが変わることを、日本語で測った報告は見つからない確認できず
初期設定でオフの機能やプランがあるGoogleのアプリとの連携や、ClaudeのTeamとEnterpriseのメモリは初期設定でオフ。実際にどれだけの利用者がオンにしているかは分からない各社の説明(§2)
揺らぎは記憶が無くても起きる記憶を持たない状態でも、同じ問いへの答えは毎回同じにはならない報告書(§4-2)の揺らぎの推定、クエリファンアウトを扱う記事の観測

表の「出所」は、出所の種類を示すものです。証拠の強さの順位ではありません。

一つ目は、繰り返し推薦されるブランドの大半は共通だったことです。「記憶があれば、自社はまったく出なくなる」「記憶があれば、自社が必ず出るようになる」のどちらも、この観測からは言えません。

二つ目は、提供元によって差の大きさが違うことです。Claudeで差が検出されなかったことは、差が無いことと同じではありませんが、一つの提供元の結果をほかに当てはめることはできません。

三つ目は、揺らぎは記憶が無くても起きることです。§4-2の報告書も、記憶による差を見る前に、通常の揺らぎで説明できる分を差し引いています。答えが人によって違って見えるとき、その違いのどこまでが記憶で、どこまでがふだんの揺らぎなのかは、一回ずつの画面を見比べても分かりません。揺らぎの観測は、クエリファンアウトを扱う記事で扱っています。

6-1. 反証を並べたうえで、何が残るか

残るのは、次の二つです。 各社は、利用者の情報を反映して答えを合わせるように機能を作っていること。そして、利用者の状態によって推薦の一部が入れ替わる観測があること。

答えがどれだけ変わるか、日本語でどうなるか、記憶だけの効果はどれだけか。これらは、本記事の範囲では分かりません。

7. 企業の見え方への含意 — 一人の画面は、代表だとは判断できない

7-1. 社内で起きうること

たとえば、上長が自分のスマートフォンでAIに業界のおすすめを聞き、自社が出てこなかったとします。あるいは、担当者が同じことを聞いたら、自社が真っ先に出てきたとします。

どちらの画面も、その人の記憶や設定を含みうる答えです。 記憶が有効なら、その人が過去に話した業種、地域、好み、よく見る会社が、答えに入りえます。自社について繰り返しAIと話している担当者のアカウントは、一般の利用者とは違う履歴を持っている可能性があります。その履歴が答えをどちらの向きに、どれだけ動かしたかは、その画面だけでは判断できません。

さらに、§6のとおり、記憶が無くても答えは揺らぎます。一人の、一回の画面からは、記憶による違いと、揺らぎによる違いを見分けられません。 その答えが多くの利用者の答えと同じである可能性はありますが、同じだと判断する材料もありません。

7-2. 利用者全体の分布は、手元の情報だけでは再現しにくい

では、多くの利用者の画面を集めればよいか。実際の利用者を適切に集めれば、答えの分布を推し量ることはできます。 §4-1の研究は、調査の協力者として800名の利用者を集め、その画面の答えを観測しています。

ただし、企業がふだん手元で見られる情報だけから、利用者の記憶、設定、プランまで含めた分布を再現するのは難しいことです。どんな利用者が、どんな記憶を持ち、どの機能をオンにしているかは、企業からは見えません。§5で見たように、使う理由も懸念も人によって違います。

Search Consoleの生成AIのレポートも、AI OverviewsとAI Modeで自社サイトへのリンクが表示された回数は示しますが、利用者が入力した問いや、記憶で答えがどう変わったかは示しません(ロングクエリマーケティングとはの、Search Consoleで測れるものと測れないものを扱う節)。

言語も、同じように答えを動かす条件です。言語を条件として固定して測る考え方は、言語が変われば、AIの答えも変わるで扱っています。

7-3. 何を測っているかを、先に決める

一人の画面からは代表だと判断できず、分布の再現も手元の情報だけでは難しい。比べられる形で確かめる一つの方法は、測る状態を定義して固定し、その状態での答えを繰り返し記録することです。ほかにも、実際の利用者を集めて画面を観測する方法や、履歴を持たせたアカウントと記憶の無い状態を並べて比べる方法があり、§4の報告はその例です。どれを選ぶかは、何を知りたいかによります。

状態を固定する場合、選べる状態は大きく二つあります。

  • 記憶や履歴の影響を外した状態:誰の記憶も入らない状態で、AIがその問いにどう答えるか
  • 特定の利用者像を置いた状態:ある種類の買い手が聞いた場合に、AIがどう答えうるか

どちらも、実際の利用者全体の画面を表すものではありません。 一つ目は、記憶の影響を外した状態での答えです。二つ目は、置いた利用者像での答えです。何を測ったかを書かずに数字を出すと、読み手はそれを「世の中での見え方」と受け取ってしまいます。

8. 測定 — 記憶を外して、自社の見え方を確かめる手順

この章は、読者が自社で試せる一般的な手順です。当社の製品の機能を説明するものではありません。当社の測り方は§8-6に分けて書きます。

8-1. 何を測るかを、一文で書く

最初に、測る対象を一文で書いてください。たとえば、「記憶と履歴を使わない状態で、名前を出さずに分野のおすすめを聞いたとき、自社が挙がる割合と、挙がったときの扱われ方」。

この一文が無いまま測ると、結果の読み方が後から変わります。 良い結果が出れば「世の中でもそう見えている」、悪い結果が出れば「たまたまだ」と読みたくなります。

8-2. 記憶と履歴を外す

記憶や履歴の影響を外した状態を測るなら、次の順に進めます。

一つ目。手段を選ぶ。

  • 記憶を使わない会話のモード:ChatGPTのTemporary Chat(非パーソナライズ)、GeminiのTemporary Chat、Claudeのincognito chat(§3-3)
  • ログインしない状態:ログインせずに使える製品であれば、その状態で問う
  • パーソナライズなしで答えを作り直す:GeminiのPersonal Intelligenceで用意されている手段
  • 開発者向けの呼び出し:アカウントの記憶を持たない形で、モデルを直接呼び出す

二つ目。測る前に、その製品の現在の設定を確かめる。 §3-3のとおり、一時的な会話でも、選び方によっては記憶や指示が使われます。ChatGPTのTemporary Chatで測るときは、開始時に非パーソナライズ(既定)を選び、どちらで測ったかを記録してください。 途中では切り替えられません。そのうえで測る日に、次のことを製品の画面と案内で確かめ、確かめた日時とともに記録してください。

  • 記憶を参照する設定がオフになっているか、または選んだ手段が記憶を参照しないと案内されているか
  • 利用者があらかじめ書いておく指示(カスタム指示など)が空になっているか
  • メール、写真、検索の履歴などとの連携がオフになっているか(Googleの連携は初期設定でオフですが、測る人のアカウントでオンになっていることがあります)

三つ目。測る専用のアカウントを分ける。 担当者がふだん使っているアカウントは、その人の記憶を持っています。§4-2の報告書も、記憶の無い状態を、ふだん使いとは別に用意した中立のアカウントと、一時的な会話のモードを重ねて作っています。測る専用のアカウントを作り、ほかの会話には使わず、記憶の一覧が空であることを確かめてから測ります。Claudeでは、覚えている内容が設定の「Memory」の中に一覧で並び、一つずつ削除できると案内されています。

四つ目。どの手段を使ったかを記録する。 §4-2の報告書では、同じ「記憶の無い状態」でも、一時的な会話とアカウントを持たないAPIの呼び出しとで、履歴を持つアカウントの推薦を拾える割合が違いました(一回の回答で62.9%と53.0%、16回まで重ねて94.7%と79.1%)。手段によって答えが違いうるので、手段を変えた結果どうしは、そのまま並べられません。

そして、外れないものがあることを前提にしてください。 地域とIPアドレス、言語、モデルの版、Web検索を使う設定かどうか、提供元の側での変更は、記憶を外しても残ります。一時的な会話のモードが内部でほかに何を変えているかも、提供元は開示していません。

8-3. 繰り返し、分子と分母で持つ

記憶を外しても、答えは揺らぎます。一回の画面は、状態ではなく、そのときの一つの出力です。 繰り返した結果は「出た」「出なかった」ではなく、「10回中4回」のように、何回のうち何回出たかを、分子と分母を並べて持ってください。回数が少ないほど、その割合の不確かさは大きくなります。統計の区間を示せるなら、あわせて示してください。

8-4. 何を記録するか

表6:固定して、記録する条件
条件記録しないとどうなるか
記憶と履歴の扱いどの手段で外したか、測る日に設定をどう確かめたか、あるいはどの利用者像を置いたかが分からず、ほかの数字と並べられない
使ったアカウントふだん使いのアカウントか、測る専用のアカウントかが分からず、誰の記憶が入りえたかを後から確かめられない
反復の回数一回なら試行にとどまる。回数が違う結果どうしは比べられない
製品、モデル、Web検索の設定§2のとおり、同じ製品でも時期と範囲で中身が違う
開発者向けの呼び出しの実行条件温度などの出力のばらつきを決める設定、システム側の指示、検索などの道具の設定で答えが変わりうる。§4-1の研究も、状態を持たない側の温度を明記している
地域と言語米国で始まった機能が多く、日本語での観測は見つかっていない。どこで、何語で測ったかが結果の前提になる
測った日時記憶の仕組みは、2026年に入ってからも複数の提供元で作り替えられている
問いの形名前を出すか、出さないか、競合と並べるか。聞き方によって、AIの答えは変わる
答えの本文と、引かれた出典何番目に、どんな言葉で扱われたか、何が出典に引かれたかが後から確かめられない

AIの答えの本文は、書き換えずに残してください。 要約して記録すると、次に読み返したときに、何が書かれていたのかを確かめられません。

8-5. 利用者像を置いて測る場合

記憶の影響を外した状態とは別に、「ある種類の買い手が聞いたらどう答えるか」を知りたい場合があります。

外からできる一つの方法は、問いの文面に利用者像を書き添えて聞くことです。§4-3の報告は、この形で推薦が変わりうることを示しています。もう一つは、§4-2の報告書のように、利用者像に沿った履歴を測る専用のアカウントに積ませ、記憶の無い状態と並べて比べる方法です。

ただし、どちらも実際の利用者の記憶を再現したものではありません。 問いに書き添えることと、AIが会話をまたいで記憶として持っていることが同じように働くとは、本記事の調査範囲では確かめられていません。履歴を積ませたアカウントも、その利用者像が実際の買い手に当てはまるかは、別に確かめる必要があります。担当者のふだんのアカウントで代用すると、担当者自身の履歴が混ざります。

利用者像を置いて測った結果は、どう置いたかとともに記録し、記憶を外した状態の結果とは分けて並べてください。

8-6. 当社の測り方

ここは当社の立場です。

当社、株式会社Vaigate(ヴァイゲート)は、AI上の認知を測定するVaipm(ヴァイピム)を運営しています。Vaipmは、AI上の認知を、複数のAIへの合計25回のステートレス計測で測定しています。ステートレスとは、ログインの状態や過去のやりとりを引き継がずに測るという意味で、地域や検索のインデックスなど、答えにかかわりうるすべての状態を取り除くことまでは意味しません。複数のAIへの合計25回のステートレス計測は、当社が採用している観測の設計で、研究から導かれた最適な値ではありません。

Vaipmは、対象について4通りの聞き方をします。名指しで聞く。名前を出さずカテゴリで聞く。競合と並べて聞く。固有の施策名で聞く。聞き方によって、AIの答えは変わります。

Vaipmの記録が表しているのは、記憶と履歴の影響を外した状態での答えです。 特定の利用者の画面での答えでも、利用者全体の平均的な見え方でもありません。§4-2の報告書が示したとおり、記憶の無い状態の答えは、履歴を持つアカウントの推薦の一部を拾えないことがあります。当社がこの状態を採っているのは、前後や他社と比べるための基準の状態を、一つ決めて固定するための設計です。

§8-5の利用者像を置く手順は、本記事が示す一般的な測り方であり、Vaipmの聞き方と同じものではありません。

8-7. この測定が答えない問い

記憶を持つ実際の利用者の画面で自社がどう扱われているかも、記憶によって答えがどれだけ変わるかも、この測定では分かりません。 後者を知るには、記憶のある状態と無い状態を同じ条件で比べる、別の設計が要ります。AIの答えの中での扱われ方が事業の成果にどう結びつくかも、この測定の外です。

測定が答える範囲を広げて書かないことも、設計のうちだと考えています。 記憶を外した状態の答えは、測れば記録として残せます。Vaipmで測れます。それを実際の利用者の見え方とどう突き合わせるかは、ほかの材料と合わせて決めることです。

9. まとめ

ChatGPT、Gemini、Claudeは、利用者について覚え、次の答えに使う機能を持つようになりました。 提供範囲は機能ごとに違い、米国から始まったものが多くあります。日本については、GeminiとAI ModeのPersonal Intelligence、Claudeのメモリを一次の記述で確かめられた一方、AI Modeで「覚えて」「忘れて」と指示できる記憶は米国、英語とされ、OpenAIの原文は日本を名指ししていません。

各社は、利用者の情報が問いに関係するとき、それを反映して答えを合わせるように、この機能を作っています。 Googleは、関係のない話題を結びつける「過度なパーソナライズ」が起きうることも書いています。

答えの違いを測った報告はあります。 実際の利用者の画面では、状態を持たない呼び出しより推薦の顔ぶれがばらつき、履歴を持たせたアカウントでは、繰り返し推薦されるブランドの一部が入れ替わりました。一方で、その集合の大半は共通で、Claudeでは統計的な差が検出されず、記憶だけの効果は切り出されていません。日本語での観測も見つかっていません。

利用者の側には、好みや状況に合わせてくれることを利用の理由に挙げる人がいる一方で、嗜好に沿う答えで考えが偏ることや、個人の情報の扱いへの懸念もあります。

だから、一人の画面だけでは、利用者全体を代表する結果だとは判断できません。 利用者全体の分布も、企業が手元で見られる情報だけでは再現しにくいものです。比べられる形で確かめる一つの方法は、何を測るかを一文で決め、測る前に製品の設定を確かめ、測る専用のアカウントで記憶の扱いを固定し、繰り返して記録することです。記憶を外した状態の答えと、利用者像を置いた答えは、分けて並べてください。

記憶を使う人がどれだけ増えるかを、本記事は書きませんでした。書けるだけの根拠を持っていないからです。 いま、決めた状態で自社がどう扱われているかは、測れば記録として残せます。

10. よくある質問

Q1. AIの「記憶」とは何ですか。

本記事でいう記憶は、過去の会話などからAIが利用者について得た情報を、会話をまたいで持ち越す機能です。ChatGPT、Gemini、Claudeは、いずれもこの機能を持っています。より広いパーソナライズには、利用者が自分のことを設定に書いておく指示(ChatGPTのカスタム指示など)や、メールや写真などのデータとの連携(GoogleのPersonal Intelligence)も含めます。これは本記事の整理で、各社の製品での用語とは一致しません。名前も範囲も各社で違い、時期によっても変わっています(§1、§2)。

Q2. 記憶があると、同じ問いでも答えは変わりますか。

各社は、利用者の情報が問いに関係するとき、それを反映して答えを合わせるように機能を作っています。Googleは、過去の予約や検索をもとに店を示せる、といった例を挙げています。外から測った報告では、実際の利用者の画面で推薦の顔ぶれがばらついた観測や、履歴を持たせたアカウントで繰り返し推薦されるブランドの一部が入れ替わった観測があります。ただし、その集合の大半は共通だったという観測もあり、記憶だけの効果を切り出した報告は確認できませんでした(§3、§4)。

Q3. 日本でも、これらの機能は使えますか。

機能によって違います。GeminiのアプリのPersonal Intelligenceは、2026年4月14日から日本でも有料プランの個人アカウント向けに提供が始まったと、Googleが日本語で発表しています。AI ModeのPersonal Intelligenceは、2026年5月20日の日本語の発表で、日本を含む約200の国と地域、98の言語へ、有料の契約なしで広げるとされています。一方、AI Modeで「覚えて」「忘れて」と指示できる記憶は、案内のページで米国、英語とされています。Claudeは提供国に日本を挙げています。OpenAIの原文は日本を名指ししておらず、除外や既定でオフとして挙がっているのは欧州などの地域です。Geminiの過去の会話の記憶は、日本での提供を一次の記述で確かめられませんでした(§2)。

Q4. 記憶による答えの違いは、どのくらいの大きさですか。

一つの数字では言えません。英国で四つの製品を比べた査読なしの報告書では、繰り返し推薦されるブランドの顔ぶれの差が、ChatGPTで16.0ポイント、Geminiで33.3ポイント、Perplexityで7.2ポイント(境界上)で、Claudeでは統計的な差が検出されませんでした。同じ報告書で、繰り返し推薦されるブランドの約75%は共通でした。提供元、問い、利用者の状態によって違うと考えるべきです(§4-2、§6)。

Q5. 社内の担当者が自分のアカウントでAIに聞いて、自社が出てきました。安心してよいですか。

その結果だけでは判断できません。記憶が有効なら、その人が過去に話した内容が答えに入りえます。自社について繰り返しAIと話している担当者のアカウントは、一般の利用者とは違う履歴を持っている可能性があり、その履歴が答えをどちらの向きに、どれだけ動かしたかは、その画面だけでは判断できません。また、記憶が無くても答えは揺らぐため、一回の画面からは、記憶による違いと揺らぎによる違いを見分けられません(§7-1)。

Q6. では、ログアウトすれば「本当の答え」が分かりますか。

「誰の記憶も入らない状態での答え」に近づけることはできますが、それは実際の利用者全体の画面の答えではありません。記憶を外しても、地域、言語、モデルの版、提供元の側での変更は残ります。また、報告書では、一時的な会話とアカウントを持たない呼び出しとで、履歴を持つアカウントの推薦を拾える割合が違いました。どの手段で記憶を外したかを記録し、繰り返して測ってください(§8-2、§8-3)。

Q7. 記憶を使わずにAIに聞く方法はありますか。

各社が手段を用意しています。ChatGPTのTemporary Chatは、既定では記憶もカスタム指示も使いませんが、開始時にパーソナライズを選ぶと既存の記憶と指示を使います(2026年8月27日の変更)。GeminiにはTemporary Chat、Claudeにはincognito chatがあり、GeminiのPersonal Intelligenceでは、特定の会話の答えをパーソナライズなしで作り直せます。測るときは、どちらを選んだかを記録し、測る前に製品の現在の設定と案内を確かめてください(§3-3、§8-2)。

Q8. 利用者は、AIに覚えてもらうことを望んでいますか。

パーソナライズを利用の理由に挙げる人がいる一方で、懸念もあります。総務省の調査では、生成AIを使ったことのある日本の回答者の31.6%が、使う理由に「自分の好みや状況に合わせて整理・提案してくれる」を挙げました。同じ調査で、嗜好に沿う答えにより無自覚に判断や考えが偏ることを、二つの回答を合わせて67.7%がリスクだと感じています。米国では、チャットボットを使わない人の54%が、個人の情報の扱いへの心配を大きな理由に挙げています。いずれも、記憶の機能そのものへの期待を直接聞いた数字ではありません(§5)。

Q9. 利用者の記憶に合わせて、自社の情報を変える必要がありますか。

本記事は、そう勧める根拠を持っていません。利用者がAIに何を覚えさせているかは、企業からは見えません。記憶による答えの違いについての観測も、記憶だけの効果を切り出したものではなく、日本語での観測も見つかっていません。まず、決めた状態で自社がどう扱われているかを記録し、ほかの材料と合わせて判断してください(§6、§8)。

Q10. 「ある種類の買い手が聞いたら」の答えを知るにはどうしますか。

外からできる方法の一つは、問いの文面に利用者像を書き添えて聞くことです。問いに利用者像を付けると推薦が変わりうることを示す報告があり、分野で首位のブランドは変わりにくく、中位のブランドほど入れ替わったとしています(ベンダーの未査読のプレプリント)。利用者像に沿った履歴を測る専用のアカウントに積ませる方法もあります。どちらも、実際の利用者の記憶を再現したものではありません。記憶を外した状態の結果とは分けて記録してください(§4-3、§8-5)。

Q11. Search Consoleで、記憶による違いは分かりますか。

分かりません。Search Consoleの生成AIのレポートは、Google検索のAI OverviewsとAI Modeで自社サイトへのリンクが表示された回数を示すもので、利用者が入力した問いや、答えの中で自社がどう語られたかは示しません。利用者の記憶や連携されたデータで答えがどう変わったかも、そこからは分かりません(§7-2)。

Q12. Vaipmの記録は、平均的な利用者の見え方を表していますか。

いいえ。Vaipmは、AI上の認知を、複数のAIへの合計25回のステートレス計測で測定しています。記録が表しているのは、ログインの状態や過去のやりとりを引き継がない、記憶と履歴の影響を外した状態での答えです。特定の利用者の画面での答えでも、利用者全体の平均的な見え方でもありません。この状態を採っているのは、前後や他社と比べるための基準の状態を、一つ決めて固定するための設計です(§8-6、§8-7)。

11. 出典

  1. OpenAI ヘルプセンター「ChatGPT — Release Notes」。2023年7月20日(カスタム指示のベータ。すべてのPlusの利用者で使え、数週間のうちに全利用者へ)、2024年2月13日(記憶の試験。無料とPlusの一部の利用者)、2024年4月29日(すべてのPlusの利用者へ。原文の表記は「except in Europe Korea」)、2025年4月16日(Webの検索に記憶を使う)、2025年5月8日(EUを含むすべてのPlusとProへ。EEA、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインでは既定でオフ)、2026年6月12日(一時的な会話は既存の記憶を使わないとする、8月27日の変更の前の記述)、2026年8月27日(一時的な会話は既定で非パーソナライズ。開始時にパーソナライズを選ぶと記憶、カスタム指示、プラグインを使い、新しい記憶は作らない。途中では切り替えられない)の各項。2026年9月28日に、当社の取得環境からは取得できなかったため、ブラウザで表示した本文で確認。https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
  2. OpenAI「Dreaming: Better memory for a more helpful ChatGPT」2026年6月4日。米国のPlusとProの利用者から提供し、数週間のうちに追加の国とFree、Goの利用者へ広げること、記憶の初版が2024年4月で、2025年4月に過去の会話の文脈を参照するよう更新したこと、記憶が無い場合と有る場合の答えを並べたカメラの機材と旅行の計画の例。2026年9月28日に、当社の取得環境からは取得できなかったため、ブラウザで表示した本文で確認。https://openai.com/index/chatgpt-memory-dreaming/
  3. OpenAI ヘルプセンター「Searching the web with ChatGPT」。記憶が有効なら、検索語の書き換えに関係する保存済みの記憶を使うことがあるとする記述。2026年9月28日に、当社の取得環境からは取得できなかったため、ブラウザで表示した本文で確認。https://help.openai.com/en/articles/9237897-searching-the-web-with-chatgpt
  4. Google「Gemini gets personal, with tailored help from your Google apps」Dave Citron、2025年3月13日。検索の履歴を参照するパーソナライズを実験的な機能として提供、45を超える言語と世界の大半の国、欧州経済領域、スイス、英国を除く旨。https://blog.google/products-and-platforms/products/gemini/gemini-personalization/
  5. Google「AI in Search: Going beyond information to intelligence」2025年5月20日。AI Modeで過去の検索にもとづく提案を近く提供すること、利用者が選べばGmailをつないで個人の文脈を取り込めること、ナッシュビルでの週末の例、AI Modeを米国のすべての利用者に提供する旨。https://blog.google/products/search/google-search-ai-mode-update/
  6. Google「Gemini adds Temporary Chats and new personalization features」Michael Siliski、2025年8月13日。過去の会話から要点と好みを覚える機能が初期設定でオンであること、Gemini 2.5 Proで一部の国の18歳以上の個人アカウントから提供すること、本のおすすめの例、Temporary Chatをパーソナライズにも学習にも使わず最長72時間保存すること。https://blog.google/products/gemini/temporary-chats-privacy-controls/
  7. Google「Personal Intelligence: Connecting Gemini to Google apps」Josh Woodward、2026年1月14日。米国のGoogle AI ProとUltraの利用者へのベータ提供、アプリとの連携が初期設定でオフであること、パーソナライズなしで答えを作り直せること、不正確な答えや「over-personalization」が起きうること。https://blog.google/innovation-and-ai/products/gemini-app/personal-intelligence/
  8. Google「Google brings Personal Intelligence to AI Mode in Search」Robby Stein、2026年1月22日。米国、英語、Google AI ProとUltraの利用者へLabsの機能として提供、GmailとGoogleフォトの接続はオプトインであること、誤りが起きうることと関係のない話題を誤って結びつけうること。https://blog.google/products-and-platforms/products/search/personal-intelligence-ai-mode-search/
  9. Google「Personal Intelligence in AI Mode and Gemini expands in the U.S.」2026年3月17日。米国で無料の利用者へ、AI Mode、Geminiのアプリ、ChromeのGeminiに広げる旨、個人のGoogleアカウントが対象でWorkspaceの利用者は対象外であること。https://blog.google/products-and-platforms/products/search/personal-intelligence-expansion/
  10. Google「Gemini アプリ で パーソナル インテリジェンス を日本でも提供開始」Josh Woodward、2026年4月14日。日本でGoogle AI Plus、Pro、Ultraの個人アカウント向けに順次提供を始め、無料版へは数週間のうちに広げる予定であること、アプリとの連携が初期設定でオフであること、過度なパーソナライズが起きうること。https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/personalintelligence/
  11. Google「AI 検索の新時代」2026年5月20日。有料サブスクリプションへの登録なしで、日本をはじめ世界約200の国や地域、98の言語で、AIモードのパーソナル インテリジェンスの提供を拡大する旨、Gmailや Google フォトとの連携は利用者が管理する旨。https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/search-io-2026/
  12. Gemini アプリ ヘルプ「Gemini との過去のチャットのメモリーを使用してパーソナライズする」。18歳以上、個人のGoogleアカウント、アクティビティの保存がオンであることを条件とし、国と言語の記載がないこと、記憶の切り替えが「パーソナル インテリジェンス」の設定の中にあること。https://support.google.com/gemini/answer/16598469?hl=ja
  13. Google 検索 ヘルプ「パーソナル インテリジェンス: 検索の AI モードで回答がパーソナライズされる仕組み」。AI Modeに詳細を記憶するよう、または忘れるよう指示できる記憶の機能が「米国において英語で」利用できるとする記述。https://support.google.com/websearch/answer/17212611?hl=ja
  14. Anthropic「Bringing memory to teams」2025年9月11日(2025年10月23日の追記を含む)。TeamとEnterpriseのプランの利用者へのメモリの提供、プロジェクトごとに記憶を分けること、incognito chatをすべての利用者が使えること、ProとMaxのプランの利用者へ広げる旨の追記。https://claude.com/blog/memory
  15. Claude ヘルプセンター「Release notes」。2026年3月2日の会話の履歴からの記憶を無料の利用者を含むすべての利用者に広げた旨、2026年7月10日の記憶の形式の変更、2026年8月25日の更新の案内で、覚えている内容はすべて設定の「Memory」の話題(Topics)の下に一覧され、編集と削除ができるとする旨。https://support.claude.com/en/articles/12138966-release-notes
  16. Claude ヘルプセンター「Use Claude's chat search and memory to build on previous context」。無料、Pro、Maxではメモリが初期設定でオン、TeamとEnterpriseではオフであること、incognito chatでは記憶にもチャットの履歴にも保存しないこと。https://support.claude.com/en/articles/11817273-use-claude-s-chat-search-and-memory-to-build-on-previous-context
  17. Anthropic「Supported Regions Policy」。Claude.aiとAPIの提供国と地域に日本が含まれること。https://www.anthropic.com/supported-countries
  18. Angelina Wang, Daniel E. Ho, Sanmi Koyejo「The inadequacy of offline large language model evaluations: A need to account for personalization in model behavior」Patterns 6(12): 101397、2025年12月12日(査読付き。arXiv 2509.19364、2025年9月18日投稿)。米国のChatGPTとGeminiの利用者各400名の画面と、状態を持たない呼び出し(温度1)の比較、会社の推薦の問いでTeslaが93%と35%、Patagoniaが91%と37%であったこと、脱落率50.2%。DOI 10.1016/j.patter.2025.101397。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12745978/
  19. 査読なしの報告書。Cassie Wilson Clark, Joao da Silva「The Personalization Gap: How a Model's Knowledge of the User Reshapes Brand Recommendations in Generative AI」v1.0、Zenodo、2026年8月29日。英国、2026年6月の9日間、ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityで30の問いを三つの状態で投げた8,609件の回答。顔ぶれの差(ChatGPT 16.0、Gemini 33.3、Perplexity 7.2、Claude 1.0ポイント)、推薦の核となるブランド約3.7件のうち約2.8件が共通であったこと、記憶の無い状態を別の中立のアカウントと一時的な会話のモードで作ったこと、手順書が履歴の具体的な作り方を非公開としていること、差のすべてを履歴に帰すことはできないとする著者の記述。https://zenodo.org/records/22161044
  20. 査読なしの報告書(上のウェブ版)。friction AI「The Personalization Gap: Account History and Brand Recommendations in Generative AI」ウェブ版、2026年9月8日改訂(第1.0版にもとづく)。拾える割合が、履歴を持つアカウントで繰り返し推薦されたブランドの集合との重なりを指すこと、一回の回答で62.9%と53.0%、16回で94.7%と79.1%、164の組み合わせで約75%が共通であったこと、6通りの利用者像と別々のアカウント、問いに利用者像を書いていないこと、公開した資料と公開していない資料の範囲。https://www.frictionai.co/white-papers/personalization-gap
  21. ベンダーの未査読のプレプリント。Will Jack, Noah Lehman, Keller Maloney, Sarah Xu「Persona Conditioning of Brand Recommendations in Retrieval-Augmented Commercial Chat: A Prominence-Stratified Cross-Provider Audit」arXiv 2605.30207、2026年5月28日投稿。著者の所属はUnusual。問いの頭に利用者像を付けた計2,000回の回答、首位のブランドはおよそ8割が同じで、中位のブランドでは推薦の最大75%が入れ替わったこと。https://arxiv.org/abs/2605.30207
  22. Aniko Hannák, Piotr Sapieżyński, Arash Molavi Khaki, David Lazer, Alan Mislove, Christo Wilson「Measuring Personalization of Web Search」arXiv 1706.05011、2017年6月15日投稿(2013年の国際会議WWWでの発表の拡張版。WWW 2013での発表は研究プロジェクトのページ https://personalization.ccs.neu.edu/Projects/WebSearch/ で確認)。Google検索で200名、Bingで100名の利用者について、結果の平均11.7%(Google)と15.8%(Bing)にパーソナライズによる違いが見られたこと、ログインしたアカウントとIPアドレスによるパーソナライズが確認されたこと。https://arxiv.org/abs/1706.05011
  23. 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第1章第1節「個人におけるAI利用の現状」。図表Ⅰ-1-1-5「生成AIサービスを利用する理由(国別)」で日本の「自分の好みや状況に合わせて整理・提案してくれる」が31.6%、図表Ⅰ-1-1-16「AI利用のリスクに関する考え方(日本)」で「AIのレコメンドや自分の嗜好に沿う回答により、無自覚に判断や考えが偏る」が「非常にリスクだと感じる」26.8%、「どちらかと言えばリスクだと感じる」40.9%であること(同項目は2025年度調査の新設)。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/n1110000.pdf
  24. 総務省「令和8年版 情報通信白書」付注「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」。一般国民向けアンケートがインターネット調査で2026年1〜2月に行われたこと、日本の有効回答数1,236(15〜69歳、年代ごとに206)。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/01fuchuu.pdf
  25. Pew Research Center「Americans and AI 2026: Chatbots, Smart Devices and Views on Impact」2026年6月17日。2026年2月17〜23日、米国の成人5,119名。AIのチャットボットを使う人49%、使わない人51%、AIの利用の広がりで自分の個人の情報の安全性が下がると考える人71%。https://www.pewresearch.org/internet/2026/06/17/americans-and-ai-2026-chatbots-smart-devices-and-views-on-impact/
  26. Pew Research Center「Why don't people use chatbots?」(「Americans and AI 2026」の一部)2026年6月17日。チャットボットを使わない人のうち、個人の情報がどう使われるかの心配を大きな理由に挙げた人54%、小さな理由に挙げた人24%。https://www.pewresearch.org/internet/2026/06/17/why-dont-people-use-chatbots/

本記事の出典は、出典1〜3を除き、2026年9月25日に原文を直接確認した。出典1〜3(openai.com、help.openai.com)は、当社の取得環境からは取得できなかったため、2026年9月28日にブラウザで表示した本文で確認した。記憶や利用者の状態によって答えが変わることを日本語で測った報告は、本記事の調査範囲では確認できなかった。

Vaipmの視点

Vaipmは、AI上の認知を、複数のAIへの合計25回のステートレス計測で測定します。名指しで聞く、名前を出さずカテゴリで聞く、競合と並べて聞く、固有の施策名で聞く、の4通りの聞き方で、自社がAIの回答の中でどう扱われているかを記録します。記録するのは、利用者の記憶や履歴を引き継がない状態での答えです。

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