写真や声で問う検索は、規模のある数字が公表されている入力の形です。 Googleは、Google レンズ(以下、Lens)での画像による検索が2024年10月の時点で月に200億回近くあったと書き、2025年4月の社内データとして月250億回を超える問いがあったとしています。かこって検索(Circle to Search)は、2026年2月の時点で5億8,000万台を超えるAndroid端末で使えるとされています。
ただし、数字ごとに母数が違います。 「AI Modeの問いの6件に1件近くが音声か画像」という数字はAI Modeの中の話で、Google検索全体の内訳ではありません。Siriの「1日15億回」は音声のリクエストの回数で、検索の回数ではありません。
写真で問うと何が伝わるかについて、Googleは仕組みの一部を説明しています。 AI Modeでは、Lensが画像の中の物体を一つずつ識別し、画像全体とそれぞれの物体について複数の問いが発行されます。Lensは、写真の物体を他の画像と比べ、画像が載っているページの言葉やメタデータを使うこともあります。
本記事は、写真と言葉を一緒に使う問いを、「画像が対象を運び、言葉が条件を運ぶ」と整理して読みます。 これは本記事の整理であって、Googleの定義ではありません。
声については、言えることが少なくなります。 声で問うと問いが長く自然な文になりやすいという研究はありますが、同じ研究は、長くなっても検索の成果は有意には上がらなかったと報告しています。Googleが音声だけの割合を示したのは、本記事の調査範囲では2016年(米国のモバイルのアプリの問いについての割合)が最後でした。
企業が用意しておくものとして本記事が書くのは、Googleの画像のガイダンスに書かれていることだけです。 Googleは、画像と動画のSEOのガイダンスに従っていれば、生成AIの検索への最適化もすでにできていると書いています。声で問われることに向けた一般企業向けのガイダンスは、本記事の調査範囲では見つかりませんでした。
この記事で分かること
- Lens、かこって検索、AI Modeについて公表されている数字と、それぞれの母数
- 写真で問うとき、GoogleのAI ModeとLensが画像をどう扱うと説明しているか
- 写真と言葉を一緒に使う問いで、何が何を運ぶのか(本記事の整理)
- 声で問うことについて、数字と研究から言えることと言えないこと
- 「音声検索が半分になる」という予測の出所と、確かめられない理由
- Googleの画像のガイダンスに書かれている、企業の側で用意できること
- 画像を使った検索での表示を、Search Consoleで見られるようになったこと。そこで見えないもの
対象読者
EC、ブランド、マーケティングの実務担当者。自社の商品や店舗が、写真や声で問われたときにAIの回答の中でどう扱われるかを、伝聞ではなく一次の資料で把握したい方を想定しています。
最初に置く数字
Googleは2026年2月4日の決算説明で、AI Modeの問いの6件に1件近くが、音声か画像を使った文字以外の入力だと述べました。 同じ説明で、かこって検索が5億8,000万台を超えるAndroid端末で使えるとしています。
一方で、米国のウェブブラウザのパネルでは、2026年1〜4月のGoogle検索のうちAI Modeに到達したのは0.34%でした(SparkToro、ベンダーによる分析)。このパネルはGoogleのモバイルアプリを含みません。二つの数字は母数が違うため、掛け合わせることはできません(§5)。